2012年、山中伸弥さんが再生医療の実現につながるIPS細胞を作製し、ノーベル医学賞を授与されました。
現在でも、若返り・アンチエイジングなどに関連して、再生医療という言葉を耳にします。
この再生医療産業は、今後成長し続けると言われています。
内閣府は、再生医療周辺産業の世界市場規模は、2012年 2400億円、2020年 1.1兆円、2030年 5.2兆円、2050年 15兆円、に成長すると発表しています。
今回は、再生医療産業が注目される背景・その研究者になれる方法をまとめます。
1. 何故、再生医療産業が注目を浴びるのか?
注目を浴びる理由として、2点あります。
A. 治療が困難であった疾患に対する、新たな治療法として期待されている為
生活習慣病・ガンなど身近な病気に関しては、既に様々な治療法が開発されています。
しかし、パーキンソン病などの難病に効果的な治療法は、ほとんど開発されていないのが現状です。
このような難病への治療法として期待されているのが、再生医療である為です。
B. 再生医療の普及により、日本の医療費・経済成長などに与える影響の大きい為
日本・先進国問わず、医療費の抑制は国としての課題となっています。
再生医療により、病気の早期治療が実現すれば、薬の開発期間の短縮化・入院にかかる医療費の削減が期待できます。
内閣府によると、薬の開発に伴う治験の短縮化だけでも、7年間で123,000万円かかっていた治験関係費用が、2年間で53,800万円になると、言われています。
3. 再生医療に関係する企業
再生医療というと、「薬=製薬企業」を想像する方も多いかもしれません。
しかし、培養事業・培養装置など、他にも再生医療に関連する企業があります。
培養事業
・テルモ
自家骨格筋芽細胞を用い た心筋シートの開発
試薬事業
・オリンパス
細胞増殖因子の開発
細胞自動培養装置・製造事業
・日立製作所、セルシード
細胞シートの自動培養装置
製薬・創薬事業
・武田薬品工業、アステラス製薬、大塚製薬
医療材料事業
・富士フィルム、大日本印刷、 旭化成
以上のように、様々な企業が再生医療に携わっています。
ちなみに、上場している企業で再生医療関連の企業は57社あり、今後も企業は増え続ける見込みです。*2017年10月13日時点
4. 再生医療における課題
2つ課題があります。
A. 再生医療の実用化の促進に向けて、多くの人材が必要だが、細胞培養の技術者が不足がしている事
B. 再生医療を学べる大学が少ないという事
平成28年時点での全国の大学数779校の内、再生医療に携われる大学は、順天堂大学・杏林大学などの69校。*当社調べ
このデータから読み取れるように、まだまだ再生医療を学べる大学は少ないです。
何故、再生医療を学べる大学が少ないのか?
再生医療新法において、「採取したヒト幹細胞は一定期間保存しなければならない」という決まりがあります。
保管する為の初期設備投資・維持費を加味して、大学に保管設備を設置することは難しいとされています。
例えば、株式会社カネカの細胞培養装置の場合、費用は2000万円前後です。
やはり、投資金額としては、大きな金額と見受ける事が出来ます。
5. 再生医療の研究職になる為には?
再生医療産業の成長性に注目し、研究・開発技術者派遣を行うアドバンテック株式会社が、細胞培養技術者養成コースというプログラムを実施しています。
このプログラムにより、再生医療、細胞医療に携われる人財を、DHC、武田薬品などの大手企業に輩出しています。
*企業概要より抜粋
6. 最後に
今日では、「研究職になるには、学部卒では難しい、大学院に行かないと難しい」という声を聞きます。しかし、学びたい意欲があるにも関わらず、経済的事情で大学院に行く事が出来ない学生も多数います。
意欲のある学生を医療産業を支える人財にする為にも、未経験でも再生医療の研究者になれる取り組みを、多くの企業が積極的に行う事が必要ではないかと思います。
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